ド素人の稲作チャレンジ(4)溝を切って、実りのための水位調節

  • 田植え
  • 田の草取り
  • 追肥
  • 溝切り
  • 稲刈り

あっという間に雑草の生える無農薬の田んぼ。7月27日、更なる除草作業と同時に、田んぼの管理の中でも重要な「水位調節」のための作業、溝切りを行ってきました。
全国的な猛暑日となったこの日、新潟の山間部は少しは涼しいかと思いきや…。

まだ6時なのにすでに暑い早朝の田んぼ。

早朝から酷暑の気配

ぜーーーーんぜん涼しくないんですよ、田麦山ってね。
標高が高い場所なら過ごしやすいのでしょうけれど、山間部とは言っても低い土地ですから、普通に暑いんです。

前日の到着はすでに日付が変わった頃でしたから、朝6時からの作業になりましたが、5時過ぎには暑くて目覚めてしまいました。
今日はしっかりとスポーツドリンクも持って、いざ田んぼへ出陣です。もちろん、合羽なんて着てません!

実はヒエもちゃっかり育ってる田んぼ。

やっぱりヒエは育っちゃう

この日の作業ポイントは2つ。前回の田の草取りで取り残してしまったヒエの除去と、もう一つは「溝切り」という作業です。溝切りは田んぼの水位を下げる「中干し」のために欠かせない大事な作業。そこまでを暑くなるお昼までには完了させる予定です。

前回、追肥とともに米糠を播いて帰ってきましたが、この米糠が表層で発酵し、田んぼの土は有機的な表情となっておりました。多少の雑草は押さえられている…のかな。確かに稲の背丈だけがぐんと伸びたように見えます。

けれど、ヒエという植物はとてもたくましくて、稲の中でジワジワとその勢力を伸ばしつつありました。
まるで「稲でーす♡なんちゃってネ ( ̄ー ̄)ニヤリ 」と、稲のすぐ側でぐんぐん育つヒエ。これを必死に見分けながら、少しでも多く除草せねばなりません。
放っておくと、稲がヒエに負けちゃうんです。

それぐらい強靭なヒエを地道に鎌で刈っていきます。もう稲の株も太くなっているので、株間も狭くなっていますから、前回のような除草器は使えない。あれほど頑張ったのに、それでもまだヒエはいたる所で育ってしまう。

何だかバカにされてるようで悔しくなってきます。
ヒエと人間の根比べ。あきらめたほうが負けです。

ヒエを見つけ次第、鎌で刈っていく。

無農薬栽培ゆえの苦労を垣間見る

まだ朝というのにジリジリと照りつける太陽。前回の合羽着用で懲りたワタシは、もんぺスタイルでの参戦でしたが、それでもあっという間に汗が噴きだし、長靴の中までびっしょりになってしまいます。

冷房の効いたスーパーで「あら、無農薬♪ うーん、でもちょっとお高いわねぇ。」なんて言ってる自分を呪わずにはいられません。

大変なんだ、「農薬を使わない」って事は、農薬の代わりを全部人間がしなくちゃいけない。
あらためてその重みがわかります。

「手塩にかける」という言葉の由来は、味加減を自分で調節するという意味だそうですが、そうじゃないよ。きっと。
塩が吹き出すほど汗まみれの手で、丁寧に育てるから手塩なんだよ。

そんな事をブツブツと呟きながら鎌を振るうも、10分も作業するとこの通り。

ダメ人間の見本のようなワタクシ、唯一の日陰である車の荷台に逃げ込んでグッタリしてる時間のほうが、断然長くなる始末。
軽い熱中症の症状も出始めてきました。

スイカ、ブラボー!

熱中症の救世主、現る

そんなワタシを見かねて、庄平先生が「休憩しようか〜〜」とニコニコと持ち出したのがコレです。スイカ。

スポーツドリンクは持参していたのですが、暑さで疲れてくると飲むのすらも億劫になってくるんです。そのうちに手足が痺れがちになったり頭痛が始まったりと、症状が激しくなってきてしまう。

えー、こんな所でスイカ…と思ったけれど、食べてみてビックリ!
ものすごく元気が出る!なにこれ、凄い!!
「スイカの糖分と栄養は、こういう時に一番効くんだよ。」と庄平先生。

そうでした。子どもの頃は、プールから帰ってきたらスイカ。暑くて昼寝ばっかりしてるときにもスイカでした。

エアコンの効いた暮らしではすっかり忘れていたけれど、田んぼや畑には、昔からの知恵がしっかり残っている…そんな気がしました。

よ〜し!スイカで元気出たし、もう一頑張りだー!

機械を使って、田んぼに溝を掘っていきます。

中干しのための「溝切り」

さて。この日のもう一つの大事な作業、溝切りについて少し説明いたしましょう。

稲作では栽培中期から田んぼの水位を下げて、「中干し(なかぼし)」という作業を行います。水を一旦抜くことで不要な分けつを押さえ、根に酸素を供給する役割があるそうです。日本では一般的に広く行われている稲作管理ですが、普通は土にひびが入るぐらい、カラっカラに乾かします。田植え後1ヶ月ぐらいから始めるそうです。

けれど、庄平先生の中干しはちょっと違う。
前回の記事で「稲は水根が大事」というお話をしましたが、根の状態を悪くしてまでの中干しは逆効果…という考え方が庄平流の稲作。この田んぼは今まで充分な水を張っていましたが、これ以降は-10cmの水位で根の張りをキープしながら稲を育てていきます。中干しではありますが、水は抜きません。

地表から-10cmの水位なら、溝に少し水が残る。

稲の根はすでに10cm以上の長さまで育っていますから、表面は水の無い状態であっても根は干からびることはありません。こうやって充実した水根を保ったまま、秋に来るであろう台風での転伏に備えます。微妙な水加減が丈夫な稲を育てていくんですね。

溝をつけておくことで排水がスムーズに行えるため、溝切り自体はそれほど珍しい作業ではないようです。ですが庄平先生の稲作では、この溝はいわば水位計。溝に少しだけ水分が残っていれば-10cmの水位。溝まで乾いてしまったら水根が傷んでしまうという目安にもなります。

この溝切りのためのマシーンが面白そうだったので少しやらせて頂きましたが、ワタシの力ではコントロールが効きません。簡単そうに見えたのになぁ。

「田の力って書いて、何と読む?」ニヤリと笑う庄平先生。「田植えは女・子どもでも出来るけど、その他は…まず無理だろな。」といって笑っていらっしゃいました。田んぼの作業は、本当に重労働ばかりです。美味しいお米を作るって、本当に大変。

分けつ数を数える庄平先生。「うん、まぁまぁなんじゃない♪」と、合格点を頂きました!

このまま、どうか無事に育って欲しい

「今年は去年より、少しは良いんじゃないか?」
庄平先生から合格点をいただいた稲の分けつはおよそ30本。このそれぞれに稲穂が実ります。
今後は出穂を見守りつつ、株を傷める可能性のあるような大きな作業はもうありません。水位の管理は庄平先生にお任せし、できれば8月にもう一度ぐらいはヒエの除去作業をするかも…という感じだそうです。

けれどこれから季節が進んでいくと、台風や水害など、自然との戦いが心配になってきます。
そんな猛威に負けないように!と、しっかりと根付く稲を育ててきたはずではありますが、やはり稲作は「収穫するまで分らない」というのが本当のところ。ドキドキです。ちゃんと倒れずに、稲穂を金色に輝かせてくれるかしら。

と言うわけで、次回の記事内容はまだ未定です。もし順調にこのまま育てば次回作業はいきなりの稲刈り。(*^-^*)
ヒエボーボーならば、また除草の記事かも。(TωT)