「緑のカーテン」、今年はどうする?

今年も暑い夏がやってくる…

今ではすっかり定着した感のある「緑のカーテン」。アサガオなどのツル性植物を窓辺や軒先で育てることで、夏の強い日射しを遮ったり、見た目の涼を楽しむという習慣は江戸時代から始まったと言われています。21世紀に入ってからは、地球温暖化やエコ意識の高まりとともに「緑のカーテン」という言葉がにわかに叫ばれるようになりました。

そして、その存在感を決定的なものにしたのが、もちろん2011年の全国的な節電対策。そしてあの耐えがたい酷暑! 去年は「緑のカーテンをやろうと思って、初めて野菜を作った」という人がたくさんいましたよね。

今年もいよいよ、夏野菜のシーズンが始まります。気象庁の長期予報によると、2012年は「去年ほどじゃないけど、やっぱり暑い夏」との発表。今年は何を植えようかと、みなさんあれこれ考えていることでしょう。シーズンに先がけて開催された「日本フラワー&ガーデンショウ」(2012年3月24・25日/幕張メッセ)でも、緑のカーテンに適した品種が展示され、話題を集めたようです。

「サカタのタネ」のよると、昨年の4月16日から1ヶ月の売上げ高は、ゴーヤが前年比1.6倍増、ヘチマやヒョウタンは前年比2倍増という驚異的な伸びを記録。特に一番人気のゴーヤは品薄・品切れのお店も多く、苗を求めてホームセンターを渡り歩いた人も多かったはず。今年は早めに確保しておいたほうがいいかもしれませんよ!

ゴーヤはなぜ人気?

ところで緑のカーテンについて、素朴な疑問がひとつ。

「緑のカーテンといえばゴーヤって、誰がいつから言い出したんだっけ?」

日経新聞が発表した「初心者におすすめの緑のカーテンランキング」によると、1位がゴーヤ、2位がアサガオ、3位がヘチマ、そこにキュウリやフウセンカズラ、ツルインゲン、ヒョウタンなどが続きます。

1位 2位 3位 4位 5位
ゴーヤ
(931pt)
アサガオ
(798pt)
ヘチマ
(634pt)
フウセンカズラ
(529pt)
キュウリ
(453pt)
6位 7位 8位 9位 10位
ツルインゲン
(377pt)
パッションフルーツ
(331pt)
ヒョウタン
(315pt)
ツルムラサキ
(304pt)
ブドウ
(248pt)

日本経済新聞 何でもランキング
園芸に詳しい専門家や流通関係者ら12人に、「緑のカーテン」に適した品種について評価やコメントを付けて推薦してもらい、それをもとにランキングを作成したもの。

キュウリはゴーヤ以上に水やりが大変。水切れしてしおしおになるさまは軽くショッキング…

他のランキングを見ても、ゴーヤをトップに、おおむね似たような品種が並びます。

でも、去年ゴーヤで緑のカーテンを作った人の中には「意外と大変だな」と感じた人、けっこういるんじゃないでしょうか? 特別育て方が難しいわけではありませんが、ゴーヤはなんたって南国生まれの野菜。とにかく水を必要とします。朝にたっぷり水やりしたのに、夕方には葉がシュンとしおれちゃうことも多々あり。ゴーヤのある夏は、はっきりいって「水のドレイ」と化します(笑)

また、ゴーヤはたくさん実をつけます。もぎたてゴーヤは苦みが少なめですが、それでも毎日毎日そうたくさん食べられませんよね。みんな考えることは同じのようで、こんな興味深いアンケート調査もありました。

爆発した完熟ゴーヤ。見た目がコワイです

調理法のレパートリーを増やしたい野菜1位は、

今夏“緑のカーテン”でも人気のある「ゴーヤ(にがうり)」

(株式会社クロス・マーケティングの調査より)

収穫期も後半になると、「これ以上食べられない」とゴーヤの実を放置する人も出てきます。すると、世にも不思議な光景があなたのベランダに広がります。

というのもゴーヤは完熟すると、自ら破裂して種を飛び散らせるのです。ゴーヤは完熟すると、あの深いグリーンからドぎついオレンジ色に変化。その実をパカーンと割って、これまた真っ赤な種をボタボタと飛び散らせるさまは、なかなかどうしてスプラッタな景色。去年の夏の終わりには、ゴーヤを放置した結果、軒先がドえらいことになっている家をたくさん見ました…(^_^;)

緑のカーテンの品種選びは、見た目の美しさや遮光度など、さまざまな観点がありますが、「水やりがどれくらい必要か」「実をどんな風に食べるか」ということも考慮したほうがいいかもしれません。

「緑のカーテン度」を勝手に判定!

そこでSodatte編集部では、緑のカーテン人気品種を独断と偏見でまとめてみました!

ゴーヤ

熱帯アジア原産のウリ科植物。和名は「ツルレイシ」「ニガウリ」ですが、沖縄料理ブームにのって「ゴーヤ」という呼び名が一般的になりました。

カーテン度 ○

葉は手のひらほどの大きさで、しかも葉と葉の間隔が狭いのでほどよく日射しを隠してくれます。適度な高さで摘心すると、脇芽が横に伸びてきれいな形のカーテンになります。ただし葉が薄いので遮光率は低め。

美観度 ◎

葉はカエデのような形。薄い黄緑の若葉から成長するほど深い緑色に変わり、色のコントラストがキレイ。薄くてやわらかい葉なので、日の光が透けて、部屋からの眺めも爽やか。

食用度 ○

たくさん実がつきます。もぎたては苦みが少なめで、水分をたくさん含んでフレッシュ。ただし苦みが苦手な人や、たくさん食べられない人は、実が大きくならない品種を選ぶか、小さいうちに実を摘むなどの注意が必要です。

手間かからない度 ○

野菜の中でも簡単に育てられるタイプで、毎日の水やりと適度な肥料を欠かさなければ、誰でも育てることができます。ただしこの水やりが大変で、真夏には朝夕2回の水やりが必要なほど。「ゴーヤのある夏は水のドレイ」が合い言葉です。

育てやすさ、遮光度、収穫率の高さ、美しさ、どれをとっても王者にふさわしい風格。家の外でも中でも美観を楽しめるというのはゴーヤの強みです。ただし水を大量に所望する上、夏休みに収穫のピークがきますので、水やり対策は最重要課題。イベントが多い夏、水やりが気になってまっすぐ家に帰ってしまい、楽しい思い出やステキな出会いを逃すことのないよう要注意です。

キュウリ

インド北部・ヒマラヤ山麓原産のウリ科植物。日本では古くからなじみ深い夏野菜で、さまざまな家庭菜園品種があります。

カーテン度 △

葉はサイズが大きく、厚みもあるため遮光度は高め。ゴーヤでは明るすぎるけど、ヘチマでは暗すぎるという人に最適。ただし夏のはじめに成長のピークを迎えるため、肝心の真夏にスカスカになる確率高し。

美観度 ○

茎も葉も深い緑色で、茎は太く、葉も大きく厚いため、どちらかといえば「たくましい」というイメージの景観に。ただし成長が早く、枯れると葉が茶色くしぼむので、美しさをキープするには日々のケアが不可欠。

食用度 ◎

ハンパなく実がつきます。家庭菜園の醍醐味を一番感じられる品種のひとつ。実の生長が驚くほど早く、実がついたなと思ったらあっという間に収穫サイズになっているほど驚異の成長スピード。ピーク時は食べきれないほどに。

手間かからない度 △

うまくいくとガンガン成長して実をつけますが、病気にかかりやすいので、葉が密集しすぎないように風通しをよくするなどの手入れが必要。また、水やり頻度は夏野菜で最多。水が足りないと絵に描いたようにしおれて「ションボリ」します。が、水をあげるとすぐに「シャキッ!!」となる、大変正直でにくめないヤツです。

キュウリ栽培の魅力は成長の早さ。夏のはじめにぐんぐんツルを伸ばし、驚くべきスピードで実をつけるさまは見ていて頼もしいほど。ただし、毎日愛されてないと満足できない「甘えたさん」で、水やりを常に要求し、世話を怠るとわかりやすく枯れます。夏の一番暑い時期は成長の下り坂で、カーテンとしては残念な感じですが、サブ的存在としてにぎやかしてくれそう。

ヘチマ

インド原産のウリ科植物。オバケキュウリのような大きな実をつけ、乾燥させてタワシにしたり、茎からしみ出した水分を化粧水にするなど、使い方はさまざま。

カーテン度 ◎

人気品種の中で最も葉が大きく厚いのが特徴。バツグンの遮光率で、公共施設の緑のカーテンに採用されています。ただし葉も実も大型のため圧迫感があり、そのまま育てると暗幕状態に…。

美観度 ○

葉はゴーヤと似た形ですが、サイズは大きく存在感があります。色も濃く、生育も旺盛。ワイルドな景観イメージが生み出せます。ただし大きく成長するので、美観を通り越してトゥーマッチになる危険アリ。

食用度 △

食用の品種を選べば、実を食べられます。沖縄料理では炒め物などに使われる「ナーベラー(沖縄へちま)」が有名。それ以外の食べられない品種は「ヘチマ水」を作ったり、タワシにして美容に活用しましょう。

手間かからない度 ○

とにかく丈夫。旺盛に成長していき、縦横無尽に伸びますので、カーテンとしてデザインのしがいもあり。ただし食用として実を大きくおいしくするのは、関東エリアでは少々難しい気がします。また、ゴーヤやキュウリ同様、水分をかなり必要とします。水切れするとションボリしていますが、回復は比較的早め。

ゴーヤが「美観」、キュウリが「収穫」を魅力とするなら、ヘチマの魅力は「遮光」。大きな葉をもさもさ茂らせていくので、緑のカーテンの本領発揮。ただし時に「いくらなんでも茂りすぎやろ」とツッコミたくなるほど成長するのが玉にキズ。ツルが屋根まで伸びたり、ベランダを覆い尽くして真っ暗になるなど、空気読めない一面があるので、剪定や摘心でストップかけて。「実の収穫時期が判断できない」という難点も?

ヒョウタン

アフリカ原産のウリ科植物で、世界最古の栽培植物のひとつ。とにかく丈夫で、世界中どこでも育ち、海水にさらされた種すら発芽するほど驚異の生命力が強み。

カーテン度 ○

葉が薄く、ゴーヤ同様に遮光率は低め。ただ葉はほどよく茂ってくれるので、おシャレなカーテンにしたいという人にはよいかも。

美観度 ◎

葉がハート形でかわいい! くびれた青い実がつくので、特に千成ひょうたんのような子ぶりな品種は個性的な景観が生み出せます。ウリ科植物は黄色い花ですが、ヒョウタンだけは可憐な白い花。「遮光率より美しさ」を追求したい人には最適。

食用度 △

食用の品種を選べば、実を若いうちに収穫して食べられます。地域によっては漬け物にしたり、スライスして炒め物にして食べるそうです。食感はズッキーニのよう、との噂。

手間かからない度 ○

栽培は比較的簡単で、栽培期間も長いので、水を欠かさなければゆっくり長く楽しめます。ただし、実を収穫して食べたり加工したりする場合は、ある程度のお手入れは必要。

全てにおいて「ほどよい」という印象のヒョウタン。なかでも景観の美しさは、人気品種の中で1、2位を争うほどで、実際に栽培すると「こんなにキレイと思わなかった」と感じる人が多いようです。唯一の難点は「実の扱い方」。大型の品種は結実自体が難しく、実がつくとハンパなく大きくなるのでベランダには不向き。また収穫後の加工がかなり大変なので、チャレンジする人は覚悟が必要。

アサガオ

今さら説明する必要もない、日本で最もポピュラーな園芸植物。ヒルガオ科のツル性植物で、江戸時代の園芸ブームによって多種多様な品種が開発されました。

カーテン度 ○

元祖・緑のカーテンというべきクラシックな植物。ただし日本のアサガオは丈が低いので、ベランダ全体を覆うには役不足。カーテンとしては丈が高く、葉も大きな西洋アサガオが適しているかも。

美観度 ◎

やわらかく淡い色合いの葉、大きくて鮮やかな色合いの花など、美しさで見るとアサガオに勝てる品種はなかなかないかもしれません。品種も多く、特に西洋アサガオはビビッドな色が出ますし、沖縄の宿根アサガオは朝から昼にかけての色の変化も素敵です。美しさをきわめたい人にははずせない存在かもしれません。

食用度 ×

これで食べられたら最強なんですけど。残念ながらそれは無理。

手間かからない度 ◎

手間をかけずに丈夫に育つという、植物の中でも優等生の部類に入るんじゃないでしょうか。西洋アサガオや宿根アサガオは生育も旺盛ですので、放置しても分厚いカーテンに育ちます。

誰もが一度は育てたことがあるアサガオは、新鮮味としてはイマイチかもしれませんが、丈夫で長持ち、しかも美しいという点でこれ以上緑のカーテンにふさわしい植物はないかもしれません。品種を選べばかなり立派なカーテンが期待できます。ただし、こればっかりはしかたないのですが、「食べられません」。その1点のために、ベランダ菜園家にとってはほとんど興味をひかれないのが残念です…。

フウセンカズラ

北米原産のムクロジ科植物。その名の通り、大きくなると風船のような丸い実をつけ、実の中でハートマークが入った種を作る。可憐さではカーテン史上最強。

カーテン度 △

茎、葉、実すべてが小ぶりで繊細。ゴーヤより遮光率は低いのですが、他の品種とミックス植えすると、単調な緑のカーテンにアクセントがつき、個性的なカーテンを作り出すことができます。

美観度 ◎

鈴なりについた紙風船のような小さな実の中には、まんまるした緑色の果実。その実の中には黒地に真っ白なハートマークが入った種。見る人をキュンキュン悩殺させる「清純派」です。カーテンというよりも、壁にはわせてエクステリアの一部として楽しむ人も多いです。

食用度 ×

かわいいのに食べられません。

手間かからない度 ◎

比較的簡単に育てられる品種で、しかもゴーヤやキュウリ、ヘチマなどのように、きちんと誘引しないとキレイなカーテンが作れないのと違って、フウセンカズラは放置プレイでもほどよくからみついて美しいカーテンに仕上がります。

全体的に華奢な植物なので、単体でカーテンとして仕立てるには弱いんもしれません。ただし、見た目のかわいらしさ、育てやすさを武器に、夏のベランダを彩るには1株加えたい存在。けれど、こちらもアサガオ同様、食べられないので興味がわかないのが残念です。

サクサクした食感と見た目が楽しい、シカクマメ。
緑のカーテンのニューフェイス。

ご承知の通り、植物はベランダの環境や地域によって、育ち方が大きく異なります。あくまで参考程度にごらんくださいませ。

ちなみに、フラワー&ガーデンショウでは今年の注目株として、沖縄の「四角豆」がフィーチャーされたようです。Sodatte編集部のまわりでも、四角豆は丈夫で見た目も美しく、しかも食べてもおいしいので緑のカーテンにピッタリ!という声を最近よく耳にしますよ。

また、夏野菜の王様、トマトも緑のカーテンにできるって知ってました? 水耕栽培にすると、ベランダの狭いスペースでも天井に届くほど大きく育ち、しかも冬まで収穫が楽しめるとして、最近めっきり愛好家が増えてきているようです♪

いろいろご紹介しましたが、それぞれの特徴をつかみつつ、あなたのライフスタイルに合わせて品種を選んでみてくださいね。さて、あなたはこの夏、どんな緑のカーテンを作りますか?

緑のカーテンをもっと知りたいあなたは…

みんなの趣味の園芸「今年の夏は緑のカーテン」

カーテンの仕立て方や、体験談も満載です♪

「はっぱの笑子(エコ)らいふ」

(写真協力)緑のカーテンの品種選びや、その効果などの記事がとても参考になります。