「いつもこの服装なの。」という、お二人のファッションも素敵です。

本屋さんの「家庭菜園」コーナーに置いてあり、何気なく手にした本。表紙だけ見ると「オシャレなガーデンインテリアの本かな？」と思いますが、その帯にこう書かれていました。

「83歳と86歳の菜園生活。はる。なつ。あき。ふゆ。」

人生の後半戦に差しかかり、はてさて、これからどんな風に生きていこうか…と漠然と不安を抱えていた私には、このキャッチコピーがとてもピカピカ輝いて見えたんです。
83歳と86歳の、おじいちゃんとおばあちゃんの菜園。見てみたい！

この本の主人公は、つばた しゅういちさん・英子さんご夫妻。いわゆる菜園本のような、ハウツー情報ではなく、お二人の「暮らし方」にスポットをあてた本です。
小さな家と広い家庭菜園でゆっくりと暮らすお二人のさまざまな所作、工夫、想いが随所にちりばめられていて、「ああ、こんな風に暮らせたら、どんなに楽しいだろう！」と思ってしまいました。

「鳥が空から見て、畑だとわからないようにね。」菜園はナチュラルに仕立てます。

ご主人のしゅういちさんは元々建築家でいらっしゃって（イラストもご自分でお描きになってます）、細々したものの整頓術や物が迷子にならないラベル、コミュニケーションの為のメッセージフラッグや木札など、暮らしのアイディアが満載。そのどれもが抜群のセンスで、それでいて暮らしに馴染んでいます。

「こうすればオシャレかも！」なんて色々と試すものの、結局はセンス良くまとめることが出来ない私とは真逆です。「とってつけたアイディア」ではなくて、自然発生的にこうなっていったんでしょうネ、時間を費やして充実してきた感じがとても伝わってきます。
野菜といっしょにゆっくり成長しながら暮らす。
歳を重ねることを楽しんで暮らす。

その素晴らしさを教えていただけた気がします。
私は80歳になったときに、お二人のように豊かな気持ちで過ごしているかしら？
歳をとることが少し、楽しみになってきました。

そんな本です。元気が出ますよ。