絶品のお米が実ってくれるよう、同7月2日、田の草取りの後に追肥を行いました。田んぼへの追肥って…??液肥でも流すんだろか?
田の草取りでヘロヘロになりつつも、高鳴る期待。今年初体験の追肥にドキドキ。
稲の生育は、根っこを見ずして、語るなかれ。
作業の合間の休憩で、庄平先生からこんなレクチャーを受けました。
「他の田んぼは中干し(なかぼし)してるけど、ココはまだやらないから。」
中干し。これは田んぼの水を抜いて土を乾燥させることです。実は他の田んぼではすでに、中干しに入っている状態。土がひび割れている田んぼもあるぐらいでした。だけど遠山さんの田んぼは、除草作業の前に水を抜いたものの、かなりの水量。良いのかな?大丈夫なのかな?と思っていたんです、小心者だからねー。
左は遠山さんの田んぼの稲。私たちが育てている稲です。右は中干しが始まっている普通の田んぼの稲。
地上部だけを見ていると大差は無いように見えますが、根を見てみると一目瞭然です。根の充実度が全く違います。
あれ?…この根っこって…、見たことあるなぁ。
水耕栽培の根っこと同じ、稲の「水根」
そうめんのような真っ白くて太い根を、稲作では「水根」呼んでいます。水田向きの根っこです。ワタシのベランダ菜園は水耕栽培が中心なので、「これは慣れ親しんだ水耕トマトの根っこと同じだわ!」と気づき、いきなりのハイテンションに。
先生、ウチのベランダのトマトもこういう根っこだよ!水耕だから同じなんだね!と興奮気味に発言するも、「水耕?栽培?ベランダでトマト?…ふーん。」と、つれないお返事。ガックリ。根っこフェチの水耕サイバー、敢えなく撃沈。
「でもまぁ、そういうこと。同じ原理だ。白くて太い根っこじゃねぇと、水ん中で生きていけないの。」とのフォローを頂き、ちょっぴり団子っ鼻を高くするワタシでありました。
水根をしっかり育てる。長く太く、そして強く。
この水根は、水分の多い環境で生きるために生えてきた根です。たとえ水中にあっても、決して根腐れしない根っこ。逆に言えば、通常の土の栽培では発生しない根でもあります。植物は環境に併せて、こんな風に根っこのスタイルを変えていくんです。
田んぼから水を抜いてしまう(中干しする)と水根では生きていけないと稲は判断して、この水根を使うのを止めてしまう。畑根(普通の土から養分を吸収するための、細い分岐の多い根)に生え変わろうとするんだそうです。
つまり、成育の途中で環境が変わると、根の切り替えのために強いストレスが掛かってしまうということ。本来の中干しは、この性質を上手く利用して、無駄な分けつを制御する働きがあるそうです。
けれど庄平先生は言います。「何でもカンでも中干しすれば言いってもんじゃない。水根がダメになるまでやっちゃダメ。ちゃんと考えてやらないと。」
なるほど、庄平流稲作の要は「根っこを観る」というところにあるようです。もちろん、いちいち引き抜くわけにはいきませんから「稲と話をしながら、やる事を決める」というのが真意。教科書通りにすりゃぁ良く育つってもんじゃないんだ、稲の状態を良く観察することが大事!と稲作の達人は厳しい目で話してくださいました。
根っこフェチにはたまらない、素晴らしいレクチャーでした ♡
田んぼの追肥って、こういうことだったのねー。
さーて、いよいよお目当ての作業に入ります。今日はこれを楽しみにしてたんです、フッフッフ。追肥です!
田んぼの追肥ってどうやるんだろう?見たことが無かったので興味津々です。
この日、追肥に使ったのは尿素・リン酸肥料(過リン酸石灰)と、なんと米糠。元肥としては鶏糞が多少は入っているそうですが、これからの成長期に必要な養分をそろそろ補っておかなければなりません。だけど田んぼって広いし、どれも粉末だよ? 水だって張ってあるのに、どうやって撒くの??
と…出てきたマシーンがこれです。じゃーん!本日の秘密兵器第2弾!
今度こそは動力付きです。肥料散布器。
これね、すんごいパワーで肥料が吹き出てくるんです。これで畔を一周しながら肥料をまんべんなく田んぼに吹き飛ばしていきます。
うわー、先生かっこいい!思わず拍手。(笑)
米糠のほうは目で見て撒きムラが分かるので、手作業で撒いていきます。
「朝6時から作業するから、早く寝るんだよ!」と念を押しておいたのに、地元の若者と楽しく意気投合して作業開始の1時間前まで飲み続け、ほとんど寝てないお間抜けなSodatteスタッフも、最後の一踏ん張り。豪快に米糠を撒いていきます。
へっぴり腰が哀愁を漂わせてますが。
米糠を撒く独特の庄平流
米作りをなさっている中には「米糠を直接撒くなんて…湧く(発酵する)からダメに決まってる!」というかたも多いんだそうです。田植え前ならいざ知らず、この時期に米糠を撒くのは一般的では無いそうで、「よくビックリされる。けど俺は、稲をダメにしたことは一度も無いんだからさー。」と庄平先生は笑います。
米糠のような有機物は、発酵するとガスが発生して、植物の根に悪影響を及ぼすとされています。けれども中干しがまだ先の「庄平流」のこの田んぼでは、適度な発酵が除草効果ももたらしてくれるんだそうです。微生物もこれで一気に増え、デリケートな中干しに入る頃には発酵が終わっているのではないかと思います。一石二鳥ですねぇ。
米糠よ、次に来るときまで働いていてくれよ!頼んだぞ!と、米糠に心からエールを送るワタシ。
次回はたぶん「溝切り」です。今回、度々出てきた中干しのための準備作業ですよ。
次こそは蛍飛び交う景色なんかも織りまぜつつ、情緒あふれる記事を目指します!請うご期待!
カッパは着ません、絶対に!(しつこいなー。)