水耕栽培容器のあれこれ
前回の記事でも少しだけご紹介しましたが、水耕栽培の基本は、こんな風な仕組みになっています。
液肥で植物を育てる水耕栽培。プランター栽培の時は、過度な水やりで根腐れを起こすこともあるのに、なぜ液肥に根が浸かった状態で大丈夫なのでしょう?不思議ですねぇ。
実は、植物を植え付ける「容器・装置」にその秘密があるんです。
根っこには、空気も必要
植物は地上部の葉だけでなく、根でも呼吸をしています。根は養分や水分を吸収することや植物を支えることだけでなく、「酸素を取り込む」という仕事も担っている んです。「根腐れ」という状態は、加湿によって土中での酸素供給が足りなくなることも原因の一つとされているんです。つまり、根の呼吸困難な状態は、植物に大きなダメージを与えてしまう、ということ。
水耕栽培の場合、根の多くの部分が液肥の中に入っている状態になります。ですから「酸素の供給」をどうやってするのかが、水耕栽培装置の機能の大きなポイントになるわけ。その方法は主に2つで、1つは液肥の中に空気を送り込む方法です。金魚や熱 帯魚の水槽と同じように、エアーポンプ(ぶくぶく装置)で水中に空気を補充します。もう一つは、根そのものは極力空気に触れさせておいて、必要な分の液肥だけを供給する方法。空気中に出ている根が乾かないように、様々な工夫がされています。
市販品でらくちん派
市販品の多くは、液肥に流れをつけたり、バブリング(ぶくぶく)させたりして根に空気を供給する電動タイプ。電源の無い場所では使えませんが、デザインもお洒落でステキです。
市販品の水耕栽培キットは、液肥の容量の関係上、それぞれ育てられる野菜の大きさに目安があります。しっかりした構造ゆえ、それなりのお値段がしますので、予めしっかりと栽培の予定を立ててから購入すると良いと思います。
手作りでお手軽派
Sodatteでお勧めしたいのは、手軽に始められる手作りタイプの水耕容器。要領さえマスターすれば、必要な分だけご自分で増やしていけますし、それに何よりも楽しい!子どもの頃の工作気分で、自分だけの水耕容器を作るのは楽しいものです。手作りタイプも、主に2種類の考えたかで分かれます。
液肥と根の間に、空気の層をつくるタイプ
根の半分程度は、酸素を供給できるように空気に触れさせておけるよう、液肥の水面を少し下げて栽培します。電気は必要ないので、一番手軽にできる方法です。空気に触れている根が乾かないように「吸水ひも(フェルト)」等の工夫をするとよりGood。
ペットボトルの手作り容器
飲料用のペットボトルを上下に切って、組み合わせて作ります。上の部分が培地と植物を入れる部分、下が液肥を入れる部分になります。2リットルのペットボトルならば、コンパクトな品種のミニトマトぐらいまでなら大丈夫。500mlのペットボトルで、小さな葉物野菜を沢山育てるのも楽しいですよ!
(写真提供:「主に食材な備忘録」duckbillさん)
発泡スチロール箱の手作り容器
仕組みはペットボトルと同じですが、発泡スチロールの箱を使えば沢山の液肥が入れられるので、ナスやトマト、ピーマンなどの大きな野菜も余裕で育ちます。暑い夏や冬の寒さの影響も受けにくいので、長期間の栽培にも向いています。ペットボトルで育て始めて、大きくなったら発泡スチロールに移す、という手も。
(写真の発泡スチロール箱には、アルミシートを貼っています)
お茶パックを使ってミニ水耕栽培
ベビーリーフやチンゲンサイなど、小さな葉物を沢山育てたい場合にお勧めなのがこの方法。お茶やダシを入れる不織布の小さな紙パックを植木鉢に見立てて使います。「水耕栽培の小さな畑」みたいな栽培方法です。
(写真提供:「時々娘っこ♥ 稀に息っこ♪ と 水耕栽培」semireyさん)
液肥をバブリング(ぶくぶく)させるタイプ
金魚用のエアーポンプで空気を供給
市販品と同じように電気は使いますが、発泡スチロールで容器を手作りすることで導入コストが押さえられて手軽に始められます。エアーポンプは金魚用の安価なもので充分。収穫量も格段にアップする、本格的な水耕栽培方法です。メロンやイチゴなどの、ナイーブな果物栽培にも向いています。
(写真提供:「えなみんのブログ」えなみんさん)
ご紹介した以外にも、実はまだまだ沢山の容器や栽培方法があります。水耕栽培を楽しんでいらっしゃる皆さんのブログには、容器の作り方も紹介されていますので、そういったものを参考にしながら、オリジナルの容器や栽培方法を考え出すのも良いと思います。
一番手軽にできる水耕栽培「プチッと水耕栽培」
さぁ、ではいよいよ次回は、実践に移りましょう!
Sodatteでご紹介するのは、本当〜〜に簡単にできちゃう「プチッと水耕栽培」です。
これは水耕栽培の人気ブログ「すくすく水耕栽培」のyaefit1500さんが、2012年のMaker Faireに出展した水耕栽培キット。キット…と言っても、身近にあるものを使っての手作りですから、Maker Faireで買えなかったよーというかたでも大丈夫。実際にプチッ♡と水耕栽培してみましょう!お楽しみに!